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元なかよしの看板作家が描く演劇少女の成長物語 『なな色マジック』(あさぎり夕)

  • なな色マジック (1) (講談社漫画文庫―あさぎり夕シリーズ)
  • なな色マジック (2) (講談社漫画文庫―あさぎり夕シリーズ)
  • なな色マジック (3) (講談社漫画文庫―あさぎり夕シリーズ)

あさぎり夕といえば、80年~90年代にかけて「なかよし」の第一線で活躍していた漫画家で、今30代の元なかよし読者なら彼女の名前は必ず知っているでしょう。
「なかよし」と言えばあさぎり夕というくらい当時の売上に著しく貢献した看板作家でした。ところがその後「本当は少女漫画より描きたかった」とBL作家へ転向。…少女漫画時代の作品を見ると、確かにそのような傾向が隠すことなく出ているのがわかります。
ただ声を大にして言いたいのは、彼女の作品はどれも、(本当の心境はわからないが)少なくとも「BLがやりたかったのに…」と思って書いていたとは思えないくらい、安定した確かな実力で描かれた少女向けの作品ばかりなのです。なかよしの看板はだてじゃない。

特に本作「なな色マジック」はヒロインの心理描写が群を抜いて上手い。話のテーマは「演劇」。「演劇」といえば「ガラスの仮面」があまりにも有名ですが、とにかく高みを目指すあの作品とは違いこちらは女子中学生のコンプレックスと人間関係を「演劇」の中に上手く展開させ、笑いあり涙ありと古いながらも色あせない魅力を持っています。

ヒロインは女子中学生奈々子、現役トップアイドルを双子の姉に持っています。小さい頃から可愛らしく天使のような姉と比べられ、いつしか男勝りでひねくれものに育った奈々子。
クラス替えで学校一の目立ちたがり屋・一樹と出会い、ひょんなことから同居することに。ダンサーを目指す一樹と一緒に行動するうちに、奈々子は自分も演劇に興味を持つようになります。
やがて演劇の舞台は、奈々子にとって、ひねくれものの殻を破り素直な自分を表現できる唯一の場所となっていくのです。

いじっぱりヒロインが自分のコンプレックスを乗り越え、一歩一歩成長していく姿は必見です。

まぶしいダンスシーン 夢を追う男達よ!

話が進むにつれてイケメンが次々と現れヒロインがやたらモテるというのは、少女漫画のお約束中のお約束。本作でも、芸能界ものというだけあってイイ男ぞろいです。

奈々子の本命・一樹は、甘ったれでかわいい男の子。踊るのが何よりも好きな、熱血少年。

対抗馬・Bは、男が惚れるタイプの男。皮ジャンの似合う、誰よりも熱くてクールな男(10代とは思えん…)

大穴・良しゃんは、演劇部部長で人並み外れた美貌を持つ女形の変人。

ひねくれもので暴力的な奈々子ですが、実は内面は非常に母性的な女性なんですよね。奈々子が本当にただの気が強いだけの女であれば、ここまでモテはしなかったでしょう。天然の甘ったれ一樹は奈々子に甘えてばかりだし、大人ぶったBも、本心では菜々子の母性にすがっている。

相手への情に溢れ相手のために泣ける奈々子は、いい嫁・いい母になれるタイプです。いやマジで中学生にしてこの貫禄はすごい。

そして何より本作で見逃せないポイントは、奈々子の料理の上手さ。そう、この漫画で学んだことは、演劇の奥深さでもなく、人生のはかなさでもなく、料理の美味い女から男は離れていかないという鉄則。おさんどんヒロインの、他の漫画ではちょっと見れない餌付けテクニックはぜひ見習いたいところです。

最後は、小中学生向けにしてはシリアスでショッキングな終わりとなっている本作。しかし、少年少女が確かな成長を遂げ前を向いて道を模索する姿は、爽やかで清々しいラストと言えるでしょう。

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